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除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ(RT 73、OECD UI:MON-00073-7)の第一種使用規定の承諾申請案件

06.02.03.

平成18年2月3日
(社)日本種苗協会


 (社)日本種苗協会は、主に野菜及び花きの種苗を生産、販売する約1500の種苗業者を会員とする公益法人でありますが、今回承認申請された遺伝子組み換えセイヨウナタネは、会員が行うブラシカ属の野菜種苗の生産、販売等に大きく影響すると思慮されるので、会員の総意として意見を提出致します。


 この承認申請は「カルタヘナ法」の第一種使用規程に基づく承認を求めたものであります。これに対する学識経験者の意見は、生物多様性という側面から、わが国に限定した自然生態系への影響について述べたものでありますが、それについては未知の領域が存在するものの、おおむね理解できないものではありません。


 問題は、栽培種の採種および青果物流通への影響であります。アブラナ科植物は、他殖性植物の代表とされるものであり、当該植物間にかなりの距離(数百m~2km)があっても送粉昆虫によって受粉が行われる可能性が高いものです。このことは、「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」において、セイヨウナタネ栽培で隔離すべき距離を600m以上としていることからも知ることができます。
 従って本遺伝子組み換えセイヨウナタネが栽培又は自生すれば、他のアブラナ科植物(特にB.napus)と交雑したり、またその遺伝子組み換え品種自体の結実した種子がこぼれ落ちて野生化して、組み換えられたDNAが短期間のうちに全国的に拡散するであろうことは容易に推測されるところであります。そして一旦、拡散がおこれば再び元に戻すことは不可能になります。
 現在でも、搾油用セイヨウナタネの陸揚港や輸送路でのこぼれ落ち事件が、消費者団体等を巻き込んで除去活動が大々的に報道され、大きな波紋と危惧を呼んだのはついこの1両年のことであります。この問題は、全く解決されておりませんし、行政の説明も理解されていない現状のもとで、遺伝子組み換えセイヨウナタネの第一種使用を認めることには賛成できません。


 わが国ではセイヨウナタネをはじめとするブラシカ属の野菜の種類、品種は極めて豊富で、(社)日本種苗協会編の野菜品種名鑑によれば、現在11種 1,747品種にのぼっています。茎葉を食用とするセイヨウナタネ在来品種の代表的なものとしては、新潟の「川流れ菜」、三重の「長島在来ナバナ」などがあげられますが、その他にも全国に分布していて、かなりのものが各地在来の伝統的野菜として、食文化を支えていることは広く知られるところです。
 これらの採種はほとんど露地栽培であり、一般的に、野生化したものとの交雑が、かなり高頻度で見られることもまた事実であります。このような現状にあって、もし遺伝子組み換えセイヨウナタネの第一種使用を認めれば、直ちに現存品種とそれらとの交雑或いは交雑した後代との交雑が多発することは疑う余地がありません。


 一方、消費者は遺伝子組み換え食品に対して極めて敏感、かつ拒絶反応が強いのが現状です。そうした動きに対応して、地方公共団体等でも遺伝子組み換え作物の交雑等を防止する条例を制定するなど国内でもコンセンサスが得られていない状況にあると考えられます。
 こうした問題は、海外でも認識されており、先般、日本の種苗業者が採種事業を展開している米国オレゴン州においては、食用のブラシカ属の種子生産のための栽培地域を保護地域として指定し、遺伝子組み換えセイヨウナタネから十分に隔離してその交雑を防止する規則を制定したとの情報を得ております。


 更に、アブラナ科野菜にそのような組み換え遺伝子などが混入の恐れがあるとなれば、安全性の論議は別として、その風評だけでも、食材として取り上げることがなくなり、当然のこととして消費は激減し、それに伴って食文化の一部も消滅すると思われます。また仮に、種子、青果などが流通する場合にも組み換え遺伝子が入っていない証明書を添付するとか、発見されたときに損害賠償に応ずるなどの保証を要求される可能性が大であり、それに反論するだけの科学的根拠を証明する検査機関等が未整備の状況にあります。


 以上のように本件が承認されれば、採種、栽培、流通、消費など自然生態系とは別の分野で諸々の悪影響が生じることが予測されますので、本申請は不承認とされることを強く要望いたします。


以 上

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