インドネシア議会が、10月26日、議員立法で突然可決した園芸法に関し、本法律がそのまま施行されれば、インドネシアにおける外国企業の野菜及び花卉等の育種研究、種子の生産、販売に重大な影響を及ぼし、ひいてはインドネシアの園芸産業に多大な損害を与えること、また、本法律が外国人全額出資法人の設立を認める投資調整法と明らかに矛盾することから、(社)日本種苗協会としては、以下の理由により本法律の早急な改正、又は例外条項の盛り込みを求めるものである。
1.園芸法は品種登録の簡素化、輸出入許可の簡素化など歓迎すべき要素が盛り込まれてはいるが、外国人出資比率を最大30%に抑える部分が大きな問題であり、外国人全額出資法人の設立を認める投資調整法と明らかに矛盾している。
2.園芸法では、種苗会社にとって生命線である育種素材の管理ができないことが問題であり、本法律が施行されれば、現地での育種を諦め、最悪の場合撤退せざるを得ず、良質な種子を供給してきた外国企業が撤退した場合、インドネシアの農家の不利益は計り知れないものとなる。
3.インドネシアで栽培されている品種のもとになった素材は、ほとんどが外国企業が供給したものであり、インドネシアの現地の素材からただちに優良な品種を作ることができるものではない。たとえ、インドネシア企業による育種をすすめるにしても、外国企業が存在できるようにしなければ、優良な品種が入らず、育種のベースとしての素材も入手できないため、園芸産業の発展にはつながらない。
4.また外国企業は社員としての現地人雇用や、採種の農家委託を含め、現地人に対する技術の移転や教育、さらには地元経済に対する貢献も多大なものがある。本法律は、特に現地園芸産業の発展を期してのものとされているが、この制度では外国企業、地元企業、農家の三方が損失を被るものになる。